遥かへのスピードランナー

シリコンバレーでAndroidアプリの開発してます。コンピュータービジョン・3D・アルゴリズム界隈にもたまに出現します。

ITPro Challenge 2008に行ってきました

9/5はITPro Challengeに行ってきました。
ITと自分をどう向き合わせていくか、ということに対する各人の考え方のようなものがよくわかり、また自分自身のとても刺激になるイベントでした。
以下それぞれのセッションについての感想。

モバゲータウンをこうして作った 」/川崎修平氏 ディ・エヌ・エー 取締役

発表の中の「自分はハッカーではない・技術は苦手・自分のやりたいものづくりの為に技術を学んでいく」という一言にITとの向き合い方が集約されている気がした。

でもそれって、多くのギークと言われている人たちもそうなんじゃないかな。後の宮川さんのセッションで「HOW(どうやってやるか)を掘り下げるよりもwhat(何を作るか)に注力せよ」という話があったけど、川崎さんが言うところのハッカーって、宮川さんがいうところの「HOWだけを掘り下げいる人」に近いような気がする。技術を学ぶことはあくまで手段であって、目的ではない。その先にある自分が何を作りたいのか、をよく見極めていくことが技術者として成功するためのポイントでもあると思う。
あと話の内容が一番実践的だったのもこの人。
モバオク・モバゲーの最初の文化作りのコツは?と質問したところ丁寧に回答していただきました。モバオクの行儀のよいユーザーをピックアップして、モバゲーのファーストユーザーにさせた、というのはサービスを作る上でなかなか語られないコツだと思う。

オープンソースで育つエンジニアリング・スキル」/奥地秀則氏 Nexedi 代表取締役社長

奥地氏の生き方からは「雑草魂」のようなものを感じた。「汚れ仕事路線」・『「できないから、やらない」ではない「やらないから、できない」 』と自分でいうように、とにかく自分で道を切り開いて上り詰めてきた、という誇りを感じさせるプレゼンだった。
そのような生き方は、彼自身も言っているように「やりたいことはまずできない」。だけど上に昇っていくことはできるし、昇ったあとで広がる可能性の中から自分自身のやりたいことに近いことを選択していく、というのもひとつの生き方かな、とは思った。

「Why open matters」/宮川達彦Six Apart ソフトウェアエンジニア

今回宮川さんのセッションが一番面白く、かつ刺激になった。

日本の技術者に対して、もっと情報発信せよと熱く主張する姿もそうだが、Livedoorで働いていたかつての自分を「エースプログラマ」と言い切ったりするあたりに、他のプログラマにさりげなく勇気を与えようという親心のようなものを感じた。
多分彼自身、もっと多くの才能ある人を巻き込んで面白いことをやりたい、っていう思いが強いんだろうな。

そしてその思いは、間違いなく現実に大きな影響を与えていると思う。

「シミュレーション的発想によるプログラミング 」/金子勇氏 Dreamboat 技術顧問

最後はWinnyの作者である金子勇氏のセッション。自分はプログラマではなく、シミュレータ屋であり、プログラミングはあくまで自分のアイデアの表現物であるという。

発表の内容からも、シミュレーションというおもちゃに心を奪われている少年の様な一面がかいまみれた。

まとめ

今回のセッションから感じた内容を一言でまとめると、
「プログラムができるというのはひとつの武器であり、そしてそれは非常に強力である、ということ。」
どういう人間でありたい、どういうものを作りたいか、という像がまずあって、プログラミングはそれの手段でしかない。
手段でしかないが、それは非常に強力な武器であり、一人の人間がほんの思いつきで作ったものが世界を変えることだって起こりえる。

それを使えばどんななりたい自分にだって、なれるはずなんだ。